妻は精神病 10

「ご主人さん………という訳なんです。」

は?

一瞬自分の耳を疑った。

「え?どういう事ですか?」

「…つまり、奥さんは病気じゃありません。性格的因子によって何もしたくないだけなんです。
ただの神経症です。」

!?

病気じゃないと聞いて嬉しい気持ちもあったが、同時にすごく違和感を感じた。

じゃあなんで入院とかする?

子供達に辛い思いをさせてまで?

なんで詩織はあんなに辛そうなんだ?

性格的因子?

今までの生活は何?

何でもない時だってあったよ?

…ってか心療内科の先生と診断違ってねーか?

「はい、なので奥さんにはこれから少しずつ神経症という事を伝えていきます。」

「…はぁ…そしたら妻はいつ良くなるんですか?」

「…それはわかりません。明日急に良くなるかも知れませんし、10年かかるかも知れませんし…」

なんか、やっぱりすごく違和感を感じた。
けれど、とりあえず先生のいう事だしその場は納得した。

すぐには治らないと聞いて目の前が暗くなった感じがしたのを覚えている…。

―俺の家族はいったいこれからどうなってしまうんだろうという不安…

…そろそろ、テンパってきた自分がいた。

でも、自分を必死に押し殺す。

俺がしっかりしなければならない。俺がしっかりしなければならない。俺がしっかりしなければならない…

頭の中ではその言葉がぐるぐると回る。

―続く。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA