妻は精神病 今の僕の気持ち 8

心療内科の先生から紹介状を頂き、実家のそばの入院施設のある精神病院に入院する事となった詩織。

あまりにも異様な雰囲気。

とにかく白。

アメリカのホラー映画に出てくる病院のよう。

そして厳重に管理された扉。

白い格子のついた扉は二重になっており、まさに脱獄は不可能。

職員の部屋が隣接しており、常に監視状態。
第一の戸を開けるとちょっと広い部屋になっており、家族と面会出来るのはそこの部屋のみ。

そしてさらに厳重な格子の扉があり、一般病棟となる。

男女は完璧に隔離され、お誕生日会などのイベントの時のみ合同となる。

本当に刑務所かと思った。

(おいおい、こんなところに詩織入るのかよ…)

彼女は以外と入院する事は抵抗なかったみたいで、「今の体調が良くなるなら…」とわらにもすがる思いだったようだ。

「…じゃあ、行ってくるね…」

ギィ…バタン。

「ゥ゛ギャア゛ァ゛ア゛ア゛ァ゛ーッ!!マ゛マ゛ーッ!い゛がな゛い゛でーっ!マ゛マ゛ーッ!!」

泣き狂う子供達。

泣いちゃいけない。と思ったけど、涙は止まらなかった。

私も詩織も母も子供達もみんな泣いた。

でも、これで全て元に戻るんだ。

退院してきたら、全部元通りになる。

そう信じて詩織を見送った。

―続く。
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『精神病院』というものの偏見に対する感想が上記にあたります。

自分の想像を超えたものに対して人間は畏怖します。

そして自分の常識というものから外れているものを排除しようとします。

心根では私もそういうところがあったんだと今は思います。

それが上記のような文章を生んだのでしょう。

とても良くないことです。

どんな人だって基本的人権に守られています。

それは『人間』に対しての尊厳があるからです。

あの頃の私は特殊な環境が殊更それを強調して感じていました。

そもそものそういう思考が良くなかったです。

『区別』と『差別』は違うとは言いますが、無意識の中で完璧にはっきりと分けて考えることが出来るでしょうか?

私は出来なかった。

『なんでこんなことになったんだろう』
『入院すれば治るはずだ』

と今思えばズレた考えをしていました。

子供達の泣きじゃくる姿が忘れられません。

入院→休む→良くなる

と、普通の疾病感覚でいたのですが、誰もそうじゃないことを教えてくれなかった。

『無知』ということはそれだけで『罪』だという言葉を知ったのはかなり後の話です。

詩織さんはどう思っていたんだろう。

苦渋の決断の上に家族と離れ

どれ程寂しかったろう。

したくもない叱責をせざるを得なかった気持ち。

身体が動かないということ。

『あなたはわかってくれない』

の言葉。

今ならあなたの言う通りだったと思えるよ。

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コメント

  1. よりこ より:

    一般的な入院と違って、精神科病棟は何かの被害を受けることも多いです。
    病院はよく選ばなければなりませんね。
    窃盗やスタッフや病院による人権侵害、スタッフ不在の際に患者による他の患者へのストーキングや恫喝、暴力も病院によってはあります。ちょっと老人ホームに似ています。だからもし誰かが入ったら近しい人が聞き取りをしてあげないと病院に入って心を休めてようとしているのに実は大変な目にあっていることもあります。
    今でもまだ精神病棟は外界から見たら未開の土地、環境が良くなって、人を人として扱ってくれる場所になっていってくれることを望みます。汚いものを見るような目で見てはいけないのは確かですが、怖い場所であるという感覚は当たっていると思います。

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