妻は精神病 今の僕の気持ち 21

*注意!精神的に嫌悪感を示す描写があります。

血や傷などの描写を受け付けない方は読まないで下さい。

詩織が一人暮らしをはじめて、私と子供達は私の母親と暮らす様になった。

平日は保育園が終わってから夕方まで子供達は詩織と一緒にさせた。そして週末の土日だけは家族でいるように決めた。

相変わらず、『俺が詩織の病気を治してやる。』

『俺しか詩織の病気は治せない。』

と常に考えていた。
愛を、愛情を信じていた。

その頃の詩織はヤンキー中学生の様に濃い化粧と古くさいギャルらしき格好を好んでするようになった。

そしてちょっとでも嫌になるとすぐに「離婚すれば!」だとか「死ねばいいんでしょ!」だとかのねじ曲がった言葉を吐き連ねて、リストカットや大量服薬を繰り返す毎日だった。

今思えばあの頃が一番辛かった。

…ある日、健斗が窓から外に転落した。

丁度、一階が車庫で二階が詩織の部屋。
高さは2m位はあったであろうか。

私がたまたま夕方の16時頃、用事があって詩織の部屋に寄ると身体のアチコチに絆創膏を貼った健斗を発見した。

なした?

と聞くと、

「窓から落ちた。」

との事。

!!

ありえないっ!

病院行ったのかっ!?

「…え!?何ともなさそうだったから…健斗も大声で泣いたし大丈夫かと思って…」

バ カ ヤ ロ ウ ッ ! !

頭に何かあったらどうするんだ!!

―今すぐに病院に連れて行く!!

詩織はこっちを睨みながら
「…どうせ私が悪いって言うんでしょう…!!」
と凄い形相になっていた。

私は

「当たり前だ!!お前が悪い!!馬鹿か!お前は!!」
と怒鳴った。

すぐに母親に電話をして来てもらい優菜を預け、健斗を病院に連れて行った。

今ならいざ知れず、当時優菜は4歳半、健斗はまだ3歳前だった。訳がわかるはずもない。

会社を早退し、近所の脳神経外科へ急いで行った。健斗は見た目キョトンとしていたが、私は心臓がドキドキして心配でたまらなかった。

MRIに入る健斗。

祈るように見つめた。

…そして結果が出るまでの時間がすごく長く感じた。

…50分後…

「何でも無いですよ。良かったですね。」

先生がそう言ってくれた時は安心して涙が溢れおちた。

本当に良かった…!

小さい健斗を抱き締めて心底そう思った。

健斗を母親に預けて詩織のアパートへ向かう。

部屋に入ると案の定詩織はリストカットをしていた。

滴り落ちる血液。

思わず目を背ける…が自分しかいない。

ぐったりとしている詩織を起こし、消毒液を掛けて包帯を巻く。

鋭く切られた皮膚。白い切口。さりげなく見える腱の様なもの。べとついてひもの様になった血液。

どれも私の正常な神経を狂わせるものだった。血と肉に対する嫌悪感は今も取り除けない。私の一つのトラウマとなった。

…傷が深いと判断した私は救急病院へ車を走らせた。

裏口から入る総合病院。スタッフも慣れているようで、「リストカットです。」と告げると「分かりました。」とすぐさま処置を施してくれる。

今回は4、5針縫ったとの事。

お金も結構取られる。

家に着いたのは夜の23時を回っていた。

…あぁ、明日も仕事だ…

次の日、当然早退理由を会社に報告しなければならない。

これもすごく嫌だった。

寝堀葉堀聞かれ、「何でそうなるんだ?」と言われ、「仕方ないは仕方ないかも知れないけど、管理職やからね。」と小言が入る。

いや、まぁ多少言われるのは仕方ない。

…仕方ないとわかっていても悔しかった。

せめて仕事だけは文句の言われないようにと頑張った。

―続く
—————————————————————————————————
結果として仕事をしていて良かったです。

それはある意味仕事が逃げ道になったからです。

たくさん詩織さんから電話は来ましたが仕事に集中している時は気が紛れました。

息子がアパートから転落した時は本当に気が動転しました。

心がザワザワし、どこも異常が無いことを祈り続けました。

なんとも無いことを確認した時に心から安心したことを覚えています。

『子供達の為に』と
『詩織さんの心の安定』
の両立はとても難しく感じました。

ただ状況に応じて優先順位は変わりますが、基本的には子供達の心身に於けるなるべくより良い発育には心を込めたつもりです。

本人の不注意とはいえ、2階から落ちた子供が絆創膏だけで放っておかれたらその子はどう思うでしょうか。

『僕なんてそれでいいんだ』

と思ってしまわないでしょうか。

違う。

そうじゃない。

大切な大切な存在であること。

とても大切な存在であるんだ。

お父さんにとっておまえは大切な存在なんだ。

今でも変わらず想います。

その想いは詩織さんへの想いと比べるものではなく、根底に在るものです。

それが『親心』なんだと思います。

もっと良い方法はあったかも知れませんが、方法論の話ではなく、親心としてそれはそれで間違いはなかったと私は思います。

そして自傷行為に詩織さんは及んだ訳ですが、この時は傷が深かった為に血の匂いが部屋中に充満し、刃物での切り口が鮮明に表れ、気持ち悪いのと恐いのとショックとで動悸とめまいが酷く、私の心に深く傷を残しました。

自傷行為は本人の心の叫びかも知れませんが、周囲の人間の心に深く傷を残します。

その最たるものが自殺だと思います。

もしも自殺をしようとしている方がいたら止めてください。

今は自分が辛くて苦しいかも知れませんが、世の中の理に気付けばちっぽけなものです。

マイナスからプラスに転じるのは勇気が入りますが、転じてしまえばとても楽になります。

自分を変える勇気が必要です。

マイナスを知らないと本当の幸せに辿り着くのは難しいと感じます。

自分や周りの人を傷付けるだけの人生は止めて、自分を守ることだけに専念しないで、その命を他の何かに使いませんか?

一度死ぬ気になったんなら何でも出来るはずです。

私はきっと、世の中の幸せに見える人は幸せに目を向けることの出来る人のことだと思います。

幸せに目を向けることは難しくありません。

まずは朝日の暖かさを毎日感じてみてください。

考えるんじゃなくて感じること。

そこから始めれば、きっといい結果が生まれると思います。

せっかくこの世界に生まれた仲間じゃないですか。

一緒にこの世界を生きていきましょう。

「下らねぇ」と思うのかも知れません。
「誰がおまえの言うことなんて聞くかよ」と思うのかも知れません。

それはそれでいいんです。

私はもしもそういう方がいたとしても、その方の人生を否定しません。

そう思ったっていいと思います。

たくさんの人の
たくさんの思いがあっていいと思います。

ただ、幸せになりたいならば、人を否定するのではなく、肯定した方が良いと思うだけです。

私は戦争の無い世の中は幸せだと思います。

経済や自国を守る為に戦争を必要だと思う人もいるかも知れません。

確かにそうやって人類は統合してきたのかも知れません。

色んな考え方があります。

でも、私は私や私の周りの人が争いで傷付くことは不幸だと思います。

自分の正義を相手に押し付けて相手の正義とぶつかった時に戦争は起こります。

争いは個人レベルで起こります。

相手の言いなりになる必要はありませんが、自分を守る為に相手を傷付けて良いという道理はありません。

そこは、お互いが尊重し会えば良いと思います。

饅頭が一個あるとします。
二人の人間が奪い合えば饅頭は無くなります。

しかし二人の人間がお互いに譲り合えば饅頭は残る訳です。

『譲り合いの心』が相手の尊重を導くと思います。

もし良かったらやってみてください。

いつも相手を責めたい気分になる
いつも自分を責めたい気分になったら

相手や自分に気持ちを譲ってあげてみてください。

『そうか〇〇はそう思っていたんだね。いいよそれで。そんな風に思わせてごめんね。』

と相手や自分に心から譲ってみてください。

きっと世界が変わると思います。

もしそれでも変わらないと思う人はそれまでの人生で譲り合いが足りなかったのだと思います。

そういう方は、それまでの思考の排毒に時間が掛かると思いますから、愚直にそれをやり続けてみてください。

死にたいと思うくらいなら、おすすめします。

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コメント

  1. サクラ より:

    苦しい日々でしたね。読んでいて胸がつまります。
    そんな日々をかえりみて、そこから学ぶべきことを見つけようとされる姿勢も素晴らしいと思います。
    でも、結局は離婚された。赤の他人になることができたのですね。
    よかったと思います。むしろ、決断が遅すぎるくらい。
    私は子どもがこの病気です。この子をこの世に招いた者の責任を死ぬまで負います。
    私は何かを学べるでしょうか?いいえ、他人となって過去を振り返ることのできない、死ぬまで常に現在いまある現実のなかで日々をやり過ごすだけなのです。
    ああ、今日も無事に過ごせた、警察や救急車を呼んだりしなくてすんだと、小さな安堵を積み重ねて。
    お疲れさまでした。あなたのこれからの人生のお幸せをお祈りいたします。

  2. よりこ より:

    自殺される周りの方のトラウマ、そして親心と育児・介護の両立…いろいろなご経験をされましたね。
    ただ人は、いろいろな理由で自死を選んでいるのです。迷惑をかけたいからという人だけではありませんよ。
    そういう悲しい人たちの存在から目を背けている限りは、後半の前向きな言葉も貴方に言い聞かせているだけの言葉になってしまいますし人の心には届きません。
    確実な自死は衝動的にはしないです。色々周りに迷惑をかけるから、誰かを守りたいから、自死を選ぶ人がいます。
    あなたの世代的な精神論かもしれませんが心の持ちようがどうとかで死のうとしている人は、身の上が身軽で気持ちの持ちようで生死を逆転させる人だと感じました。
    もっともっと複雑な思いでこの世の人たちは生きています。綺麗事や軽い考えでは人の心は動かないくらいに重いものです。そういう人達に、これから出会っていって、またお考えを深めていかれるのでしょう。

  3. さくら より:

    私はモラハラの夫との十年以上にわたる生活の中で
    鬱になり、様々な相談、心理療法、友人たちの助けをもらいながら
    ようやく自分を立て直しつつあります
    また精神科のデイケアで仕事を得、そこでの様々な利用者さんとのやりとりから
    たくさんの事を学びました
    しごとは、私にとって優和さんと同様、自分を支えてくれました

    私自身が自信と誇りを取り戻した頃から敷地内での別居が始まり、モラハラもほとんどなくなっています
    ただ、子供達への影響は心配です
    一番子供達が愛情が必要だった頃に私が自分が悪いと思わされ、鬱状態だったので、そのためか、高校生になった今も不安定さを、子供達の中に見てしまいます

    一つだけ気になったのは戦争云々です
    夫の言い分があまりに一方的で侵入的だった場合、こちらとしては自分を守るために応戦あるいは防戦せざるを得ません
    先の日本の戦争だって、実質的に仕掛けてきたのはアメリカだったと思います
    エネルギーを封じられ、外交を尽くしてもどうにもならずに日本は苦渋の選択で戦う事を選びました

    ただ、やられっぱなしだったら、今の日本はなかった
    私自身も、やられっぱなしだったら今も鬱のままだったと思うのです

    周囲にも、あれは明らかに夫がおかしいと思う家庭があるのですが、本人が声をあげ、違う、おかしいと言わなければ、せめて辛い事を伝えなければ、周りは手助けができない

    相手が悪いから戦うのではなくて、自分を守り、正当に主張するために戦うこともあると
    私は思うのです

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