妻は精神病 今の僕の気持ち 22

ある時、家族で近所にあるドーナッツ屋さんへに行った。

家族団欒で楽しいおやつ。

子供達はもちろん大喜びだ。

優菜「ねぇねぇ!ままはなににするのー?」

健斗「おれんじじゅーす!」

嬉しそうな子供達を横に詩織はコーヒーをすすりながらタバコをふかしている…

(ヤンママだ…)

…ちょっぴりブルーになりながらも、おいしいおやつを楽しんでいた矢先に詩織がとんでもない事をしでかした。

横に置いていた使っていない灰皿を…

ス…スス…

…ストン。

自分のバッグに入れたのである!!

驚愕した。

万引き!?

あり得ない!普通にあり得ない!

しかも子供のいる隣で!?

…この時ばかりは一瞬離婚が頭によぎった。

無言で詩織を睨みつける…

…1…2…3…4…5秒

ハッ!と詩織が私に気付いた。

顔を横に振る私。

怯える詩織はそっと灰皿をバッグの中から取り出して、元の場所に置いた。

…私の怒りは収まらない。

…帰り際、車に乗り込もうとする詩織を引き止めた。

「!!ごめんなさい!ごめんなさい!」

許せなかった。

子供達を車に乗せてから、詩織を物陰に連れていった。

相変わらず、詩織は「ごめんなさい!ごめんなさい!」と泣いている。

…詩織…なんであんな事した?…

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

…ごめんなさいじゃねぇよ!なんでしたって聞いてるんだよ!!

「…欲しかったから…もうしないから!ごめんなさい!ごめんなさい!」

欲しかったって…!売っていただろう!!(500円位で売っていた。)お前、子供が見たらどう思うのよ!!

「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」

だから、ごめんなさいじゃねぇ!!いいか!?お前これ作って売って生活している人だっているんだよ!?しかもそんな500円位なもの!お前、俺がそんなに金でお前に苦労させていたか!?

「ごめんなさい!もうしません!もうしません!」

当たり前だろうが!!しかも、子供達の隣で何て事するんだ!お前子供達万引きしたらなんて言うつもりだ!?

「わああぁっ!!ごめんなさい!ごめんなさい!もう許して!もう許して!」

許さない!!

いいか!万引きは絶対にしちゃダメだ!!

分かったか!!

「わあぁあん!!分かったぁ!ごめんなさい!ごめんなさい!」

分かったらお前、今日は歩いて帰れ!それで反省しろ!!

「うわぁぁあん!ごめんなさい!もう許して!一緒に帰らせてぇ!!」

ダメだ!

詩織を突き放し、子供達と車で帰る。歩いても10~15分程だ。

優菜「…ねぇままは?」

ママは悪い事をしたからパパは歩いて帰らせました。

優菜「…なにしたの?」

…おまえ達が大人になったら教えてあげるよ。

優菜「まま…だいじょうぶかなぁ…」

…………

健斗はムニャムニャ優菜に何か言っていた。

帰宅して数分後、詩織が帰って来た。

バタン!

ドタン!

力いっぱい戸を閉めて不機嫌をアピール。もちろん晩御飯なんて作らない。

ほぼ毎週、休みにご飯は私が作っていた。

平日は母が作ってくれた。

詩織がご飯を作るのは調子のよい時だけだった。

…しばらくして隣の部屋に様子を見に行くと、またこっそりリストカットをしていた。

いつもさりげなく刃物を手に入れる詩織。

いつもの様に消毒液をかけて包帯を巻く。

今日は深くないから大丈夫。

泣きながら寝てしまったようだ。

夜、子供達を実家に送ってから詩織の部屋に戻ると、詩織はタバコをふかしていた。

…反省した…?

「…うん…ごめんなさい…。」

もういいよ。絶対にもうするなよ。

「…うん…ごめんなさい。」

もういいよ。

後にも先にも詩織が目の前で万引きをしたのはこの一回だけだった。

―続く
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私は幼い頃から『人のものを盗る』という行為が大嫌いでした。

それをされて悲しい思いをしている人を見るのが嫌だったからです。

人として最低限してはいけない道徳があると思います。

例えば、あなたにお子さんがいたとします。

弟妹の面倒を見ないばかりか怒鳴り散らす。
学校には行かないという。
夜遊びをする。
携帯代に何万も遣う。
万引きをする。

とした時にどう接するでしょうか?

所謂『社会不適合』であり、ましてや他人を傷付けたりする可能性があります。

病気だからといって、人様のご迷惑を掛けてもいい道理はありません。

それが当時の『自分の中の正義』でした。

今は芯となる言葉は違いますが、『人様になるべくご迷惑を掛けないように生きる』という信念は変わりません。

私の取った行動には確かに詩織さんに対する配慮は欠けていたと思います。

ただ、『病気だからそう行動しても仕方ないよね』では済まされないものがあります。

そこは誰が何と言っても、世の中を正しく生きている人の為に、子供達の為に許せなかった自分がいました。

結果として(私の知る限りでは)以後万引きをすることはありませんでした。

それはそれで『人様に迷惑を掛けないように生きる』という基本的な道徳に必要なことだったと思います。

精神障害者であるからといって犯罪はいけません。

私は世の中の『精神病=罪に問われない』みたいな風潮が間違いを起こしやすい認識を植え付けていると感じます。
精神障害者の家族も間違いやすいと思います。

精神障害者だからこそ、間違いを起こす前に未然に防ぐ対策がきちんと法整備されることを望みます。

そうすれば年間3万人とも言われる自殺者も少しは減ると思います。

それは相手を傷付けるか自分を傷付けるかの差でしかなく、根本的には一緒だと思うからです。

『間違いを起こす可能性があった行為の際にきちんと教育を施す機関』があると、世の中がもう少し良くなると思います。

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コメント

  1. よりこ より:

    人が何かの行為に特に敏感に反応する場合、
    過去の家庭環境におおよその原因があります。
    私も「罪」については、とても敏感でした。
    強者が弱者を支配する状況も。

    貴方のお話を読んでいると、窃盗についての理論が、感情の後付けのように感じます。
    何か、人のものを奪うということを目の当たりにして怒りを感じ恥と思うことが、もっとずっと昔にありませんでしたか?
    窃盗が許せない感情的な反応を、自分でもそこまで怒りを感じる原因がなぜだかわからずに一生懸命理屈で読み手に納得させようとしているのは、心の傷を抱えてお辛いように感じるのは、気のせいでしょうか。
    少し、ご自分の幼少期の頃などに焦点を当ててみられたら、お気持ち楽になるのではないかと思いました。

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